終了しました 活動記録 ワークショップ「オスマン対外関係の諸相」(Nov. 26)
2021.11.01
カテゴリ: ワークショップ
B01「イスラーム共同体の理念と国家体系」では、A02「イスラームの知の変換」と共催で、ワークショップ「オスマン対外関係の諸相」を開催いたします。皆様のご参加をお待ち申し上げます。
日時:2021年11月26日(金) 14:00~17:30
報告:
黛秋津(東京大学/B01)
「オスマン対外関係の中の付庸国:18世紀の黒海地域を中心に」
松井真子(愛知学院大学/B01)
「オスマン帝国の『条約の書(アフドナーメ)』:カピチュレーション/通商条約/講和条約」
コメンテーター:嘉藤慎作(東京外国語大学AA研/A02)
司会・コメンテーター:近藤信彰(東京外国語大学AA研/B01)
使用言語:日本語
開催形態:一般公開/無料、Zoomによるオンライン開催/要事前登録
事前登録:参加ご希望の方はこちらのフォームからお申込みください。
共催:科研費学術変革領域研究(A)「イスラーム共同体の理念と国家体系」(研究代表者:近藤信彰(AA研)課題番号:20H05827)/科研費学術変革領域研究(A)「イスラームの知の変換 」(研究代表者:野田仁(AA研)課題番号:20H05825)
問い合わせ・連絡先:
守田まどか mmorita[at]aa.tufs.ac.jp
活動記録
本ワークショップでは、黛氏と松井氏により二つの研究報告が行われた。両氏がそれぞれオスマン対外関係に関してこれまで行ってきた研究を総括し、イスラーム信頼学プロジェクトにおける今後の展望を示した。黛氏の報告では、近世オスマン帝国秩序を理解するうえでの重要な視座として、イスラーム法学上あいまいな位置づけにあったワラキア公国およびモルドヴァ公国とオスマン帝国の間の宗主付庸関係や、両公国を中心とする地中海地域をめぐる外交関係についての考察が示された。松井氏の報告では、オスマン帝国が諸外国に対して与えた「アフドナーメ(条約の書)」―友好国に与えられる「カピチュレーション型」と敵対国に与えられる「講和条約型」に大きく分類される―の通時的比較分析により、18世紀後半以降における近代条約化の過程が示された。
研究発表の後、インド洋海域史を専門とする嘉藤氏、イラン史を専門とする近藤氏により、比較史的観点からコメントが行われた。嘉藤氏からは、領事制度と東インド会社の商館・商館員との比較可能性のほか、オスマン帝国がアフドナーメにおいて暗黙裡に期待した互恵性と同様に、東インド会社とムガル帝国の間にも互恵的関係がみられることが指摘された。近藤氏からは、付庸国の外交権や付庸国間の序列についての検討可能性が示唆されたほか、近代条約化以前のアフドナーメがあくまで一方向的に与える/求めるものであったことなどが指摘された。全体の議論においては、アフドナーメの外形的特徴や文書形式、オスマン外交の近代化への転換点となったキュチュク・カイナルジャ条約(1774年)の重要性、オスマン外交や帝国の国際秩序がイスラーム法体系によって実際にどの程度規定されていたのか、といった諸問題が扱われた。参加者36名。
(文責:守田まどか)