終了しました 活動記録 ワークショップ「内戦下の難民のコネクティビティ」(Nov. 29)

2021.11.11

カテゴリ: ワークショップ

班構成: B03 平和構築A03 移民・難民

A03「移民・難民とコミュニティ形成」班とB03「紛争影響地域における信頼・平和構築」班は京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科助教の佐藤麻理絵さんをお招きし、ワークショップ「内戦下の難民のコネクティビティ」を開催いたします。
多くの皆様のご参加をお待ちしております。


A03・B03班共催ワークショップ「内戦下の難民のコネクティビティ」


日時:
11月29日(月曜日)17時~19時
報告者:佐藤麻理絵(京都大学ASAFAS)
「シリア内戦下の人道支援をめぐり構築されるコネクティビティ
:シリア人ディアスポラ組織の展開から」
コメンテーター:飛内悠子(盛岡大学、B03班研究分担者)
司会:黒木英充(東京外国語大学AA研、A03班研究代表者・領域代表者)


【発表要旨】
シリア内戦が始まり10年が経過する中で、隣国トルコをはじめ、レバノンやヨルダンでは多くの人々が今も避難生活を続けています。彼らへの支援には多様なアクターが介在していますが、中でもシリア人ディアスポラ組織の活動は、多方面との複雑に構築された信頼関係を基礎に成立しています。特に、実質的にトルコ軍が支配下におくシリア北部へは越境が可能であることから、トルコを起点とするシリア人ディアスポラ組織の活動が数多く展開されています。難民自身(シリア人ディアスポラ)が織りなすシリア内戦下の人道支援に着目し、彼らが構築する様々なコネクティビティを考察します。

使用言語:日本語
開催形態:一般公開/無料、Zoomによるオンライン開催(事前登録制)
こちらのリンクよりお申込みください。

共催
科研費学術変革領域研究(A)「イスラーム的コネクティビティにみる信頼構築:世界の分断をのりこえる戦略知の創造」
A03班「移民・難民とコミュニティ形成」(研究代表者:黒木英充(ILCAA); 20H05826)
B03班「紛争影響地域における信頼・平和構築」(研究代表者:石井正子(立教大学); 20H05829)

問い合わせ・連絡先
太田絵里奈 e.otatsukada[at]aa.tufs.ac.jp

活動記録

本ワークショップでは、シリア内戦下において新たに出現してきたシリア人(難民)による組織形成の過程やその特徴を論じ、これらが多方面との調整や連携を通じたコネクティビティの構築を通じて同胞支援を展開している様子を、2018年夏に実施した調査を踏まえて報告した。同報告では、これらの組織をシリア人ディアスポラ組織(シリア人DOs)として提示し、トルコを起点にシリア国内へ越境して展開される活動を主に取り上げた。シリア人DOsを担う人びとの多くは、その背景は様々であるものの、これまでにNGO活動の経験を持ち合わせない市民であり、同胞同士の強いナショナルな連帯の下でDOsを形成している。また、これらは国連や国際NGOとの連携が進み、その際には人道原則や中立性の遵守が求められ、政治的志向性を封じ込める傾向にあった。支援にあたっては、シリア北部における地域の代表や長老との信頼関係が構築され、食料や物資の支給にとどまらず、下水道設備の整備や住居整備、教育支援などが展開される。こうした活動は、シリア人DOsの祖国再建に向けた役割を担う強い意志を感じさせるものである。コメンテーターの飛内氏は、本報告がイスラーム信頼学へのA03、B03班の課題に対して新たな一面を示すものであるとした上で、シリア人同胞の連帯はどこまで有効なのか、シリア人DOsの担い手の来歴やシリア北部における人道支援の枠組みの構造について質問が寄せられた。また、フロアからはシリア人DOsはドナーの種類によっては非常に政治化しやすいものである点について議論が展開された。また、DOsの呼称について、シリア難民に関してはまだ世代も浅くアイデンティの揺らぎといった段階にないと考えられることから、DOsとして位置づけることの妥当性について問題提起がなされた。(佐藤麻理絵、2021年12月10日掲載)

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