日本で生活をしていると、英語や外国語を学ぶのはどこか「外」にいったときのため、海外旅行や留学、出張、国際交流イベントなど非日常のため―とは感じないでしょうか。これは日本において日本語の流通度がとても高く、買い物をするのも、学校で学ぶのも、すべて日本語だけで済んでいるからでしょう。しかし、お隣さんもそのお隣さんも、みんな同じ言葉を話しているというのは、世界に目を向けたら当たり前ではありません。
今回のブログの筆者(須永)が研究するパキスタンは、多民族・多言語社会です。パキスタン人、という特定の民族はおらず、パキスタン語という言葉もありません。この国には、見た目もルーツも異なる複数の民族がいて、30~60と言われる様々な言葉が話されています。60の言語のなかには、話者人口が減って消滅しそうな言語もありますし、新聞や雑誌が刊行されていない口語だけの言語もあります。憲法で決められた国語はウルドゥー語で、公用語は英語です。