計画研究
計画研究班間の有機的な連携
本領域研究は、コネクティビティと信頼構築の問題を、空間的にも時間的にもミクロからマクロまでの伸縮自在な範囲で問題とするため、設定される個別研究テーマも相互に関連し合うものがある。このため、可能な限り様々な組み合わせの複数班共催により、研究会やワークショップを開催する。
その一環として、2021年度(京都)、2022年度(大阪)、2023年度(東京)に開催する大型国際会議は、比較的テーマの近い2つの班のペアを中心として企画する形態をとる。総括班はそれらを常に調整・補佐し、C01人文情報学班はこれらの会議に自在に関与する。そして最終年度の2024年度に総括班の企画により東京にて総括国際会議を開催する。

班構成
X00 総括班
- 黒木英充
- (領域代表・東京外国語大学AA研)
- 太田信宏
- (事務局長・東京外国語大学AA研)
- 長岡慎介
- (公募研究担当・京都大学)
- 野田仁
- (出版担当・東京外国語大学AA研)
- 近藤信彰
- (出版担当・東京外国語大学AA研)
- 山根聡
- (国際活動担当・大阪大学)
- 石井正子
- (国際活動担当・立教大学)
- 熊倉和歌子
- (広報担当・慶應義塾大学)
- 須永恵美子
- (総括班特任助教・東京外国語大学AA研)
- 後藤絵美
- (研究協力者・東京外国語大学AA研)
A01 イスラーム経済のモビリティと普遍性
- 長岡慎介
- (研究代表者・京都大学)
- 五十嵐大介
- (研究分担者・早稲田大学)
- 岩﨑葉子
- (研究分担者・アジア経済研究所)
- 亀谷学
- (研究分担者・弘前大学)
- 安田慎
- (研究分担者・高崎経済大学)
- 小茄子川歩
- (研究分担者・京都大学)
- 平野美佐
- (研究分担者・京都大学)
- 町北朋洋
- (研究分担者・京都大学)
- 荒井悠太
- (A01研究員・京都大学)
- Mehmet Asutay
- (研究協力者・〈英国〉ダラム大学ビジネススクール)
- Sébastien Lechevalier
- (研究協力者・〈フランス〉社会科学高等研究院 日仏財団)
A02 イスラームの知の変換
- 野田仁
- (研究代表者・東京外国語大学AA研)
- 中西竜也
- (研究分担者・京都大学)
- 矢島洋一
- (研究分担者・奈良女子大学)
- 坪井祐司
- (研究分担者・名桜大学)
- 高野さやか
- (研究分担者・中央大学)
- 濱本真実
- (研究分担者・大阪公立大学)
- 和田郁子
- (研究分担者・岡山大学)
- 髙松洋一
- (研究分担者・東京外国語大学AA研)
- 小野亮介
- (A02研究員・東京外国語大学AA研)
- Zhanar ZHAMPEISOVA
- (研究協力者・〈カザフスタン〉ユーラシア人文大学)
- Paolo SARTORI
- (研究協力者・〈オーストリア〉イラン学研究所)
- 澤井一彰
- (研究協力者・関西大学)
- 嘉藤慎作
- (研究協力者・滋賀大学)
計画研究班A02は、イスラームの拡大に連動する知識と情報の拡散の過程において、それらがどのように変換され、またその結果として交渉・紛争解決に役割を果たしたのかという問題に焦点を当てる。「イスラーム思想・学知の伝播と翻訳」「イスラーム法を中心とする多元的な司法制度」「国際商業の場における交渉・ネットワーキング」を切り口に、、現地調査および文献調査を踏まえて、コネクティビティの知恵を見出す試みである。
A03 移民・難民とコミュニティ形成
- 黒木英充
- (研究代表者・東京外国語大学AA研)
- 池田昭光
- (研究分担者・明治学院大学)
- 子島進
- (研究分担者・東洋大学)
- 岡井宏文
- (研究分担者・京都産業大学)
- 中野祥子
- (研究分担者・山口大学)
- 村上忠良
- (研究分担者・大阪大学)
- 昔農英明
- (研究分担者・明治大学)
- 長有紀枝
- (研究分担者・立教大学)
- 古川千晶
- (研究協力者・特定非営利活動法人 難民を助ける会)
計画研究班A03は、近現代に大規模化した移民・難民問題におけるムスリム・非ムスリム間の相互的関係づくりと信頼構築を大テーマに、「日本、欧米、東南アジアのムスリム移民コミュニティ形成と受入れ社会の関係」「難民支援をめぐる移民コミュニティ間のコネクティビティ」「国際政治における移民・難民の主体性と影響力」などの個別テーマについて、現地聞き取りと文献調査を中心に研究を実施する。
B01 イスラーム共同体の理念と国家体系
- 近藤信彰
- (研究代表者・東京外国語大学AA研)
- 太田信宏
- (研究分担者・東京外国語大学AA研)
- 秋葉淳
- (研究分担者・東京大学)
- 真下裕之
- (研究分担者・神戸大学)
- 長縄宣博
- (研究分担者・北海道大学)
- 黛秋津
- (研究分担者・東京大学)
- 堀井優
- (研究分担者・同志社大学)
- 馬場多聞
- (研究分担者・立命館大学)
- 沖祐太郎
- (研究分担者・九州大学)
- 守田まどか
- (B01研究員・東京外国語大学AA研)
- 松井真子
- (研究協力者・愛知学院大学)
計画研究班B01は、コネクティビティと信頼構築がどのようにイスラーム国家体系と関連し、いかなる「イスラーム世界」を形成していたのかを明らかにすべく、「イスラーム共同体の理念、国際法、外交関係」「海域世界における貿易と国家間関係」「支配エリートのコネクティビティと帝国性」といった個別のテーマについて、世界各地の図書館・文書館による文献調査を中心に研究を実施する。
B02 思想と戦略が織りなす信頼構築
- 山根聡
- (研究代表者・大阪大学)
- 飯塚正人
- (研究分担者・東京外国語大学AA研)
- 青山弘之
- (研究分担者・東京外国語大学)
- 中溝和弥
- (研究分担者・京都大学)
- 工藤正子
- (研究分担者・桜美林大学)
- 菅原由美
- (研究分担者・大阪大学)
- 池田一人
- (研究分担者・大阪大学)
- 後藤絵美
- (研究分担者・東京外国語大学AA研)
- 藻谷悠介
- (B02研究員・大阪大学)
- 須永恵美子
- (研究協力者・東京外国語大学AA研)
- Zahid Munir Amir
- (研究協力者・〈パキスタン〉パンジャーブ大学オリエンタル・カレッジ)
計画研究班 B02 は、現代世界の喫緊の課題である「ミャンマーのロヒンギャ問題」「シリア情勢をめぐる国際社会の確執」「インドにおける宗教間対立」などの分断・対立状況に関し、ムスリム・非ムスリム双方の視点から考察し、宗教思想と紛争解決に向けた戦略が交錯しつつ信頼構築に向かう動態を解明する。宗教的な確信に基づきつつも、戦略の転換、すなわち可変性の宗教的な可能性を考察することで、ムスリム独自の信頼構築の文脈を明らかにする。
B03 紛争影響地域における信頼・平和構築
- 石井正子
- (研究代表者・立教大学)
- 小副川琢
- (研究分担者・日本大学)
- 日下部尚徳
- (研究分担者・立教大学)
- 熊倉潤
- (研究分担者・法政大学)
- 鈴木啓之
- (研究分担者・東京大学)
- 佐原徹哉
- (研究分担者・明治大学)
- 武内進一
- (研究分担者・東京外国語大学)
- 飛内悠子
- (研究分担者・盛岡大学)
- 見市建
- (研究分担者・早稲田大学)
- 山本沙希
- (B03研究員・立教大学)
- 富樫耕介
- (研究協力者・同志社大学)
計画研究班B03は、紛争影響地域における「非ムスリムとの信頼・平和構築の検証」「イスラーム圏のコネクティビティ活性化による支援と保護の検証」「異なるイデオロギー間の対話・仲介の検証」などをテーマとし、ムスリムと非ムスリムの共存が政治争点化し、紛争に発展した地域社会を対象として現地調査を行う。研究会開催等を通じて、分断をのりこえる平和・信頼構築の実践知に関する比較研究を行う。
C01 デジタル・ヒューマニティーズ的手法によるコネクティビティ分析
- 熊倉和歌子
- (研究代表者・慶應義塾大学)
- 新井和広
- (研究分担者・慶應義塾大学)
- 石田友梨
- (研究分担者・岡山大学)
- 伊藤隆郎
- (研究分担者・神戸大学)
- 後藤寛
- (研究分担者・横浜市立大学)
- 篠田知暁
- (研究分担者・東京外国語大学AA研)
- 永崎研宣
- (研究分担者・一般財団法人人文情報学研究所)
- Alexander Mallet
- (研究分担者・早稲田大学)
- 長野壮一
- (C01研究員・慶應義塾大学)
- 佐藤将
- (研究協力者・金沢星稜大学)
- 大津谷馨
- (研究協力者・東京外国語大学AA研)
- 佐治奈通子
- (研究協力者・上智大学アジア文化研究所)
- 塩﨑悠輝
- (研究協力者・静岡県立大学)
- James Morris
- (研究協力者・早稲田大学高等研究所)
- Maxim Romanov
- (研究協力者・〈オーストリア〉University of Vienna, Institut für Geschichte)
- 太田(塚田)絵里奈
- (研究協力者・東京大学附属図書館アジア研究図書館)
計画研究班C01は、世界各地に多数現存するアラビア文字諸言語の人名録歴史資料に対し、XMLによるテキストエンコーディングを行い、「インド洋海域・西南アジア地域における人と人の関係構築とその社会的影響」について可視化し、分析する。その際に「アラビア文字資料に対するテキストエンコーディングの手法」を開発するとともに、A01–B03各班の研究活動と連携して「コネクティビティ・信頼構築の質的分析の手法」を開発する。
研究計画班A01は、イスラーム世界における様々な経済制度(貨幣・金融・市場・所有制度)に注目し、時代間比較や他地域の類似制度との比較を通じて見出される独自性と普遍性を考察する。特に「イスラーム経済のモビリティ(柔軟性+超コネクティビティ)の探究」「イスラーム経済と資本主義の比較」「次世代地球社会におけるイスラーム経済の可能性」などの個別テーマについて現地調査と文献調査を中心に研究を進める。