終了しました 活動記録 ワークショップ「アフガニスタン問題と越境的イスラーム主義の起源」(Mar. 26)

2022.02.08

カテゴリ: ワークショップ

班構成: B01 国家体系B02 思想と戦略

B01「イスラーム共同体の理念と国家体系」では、B02「思想と戦略が織りなす信頼構築」および科研費基盤研究(B)「暴力による民主主義の20世紀:トランスナショナルヒストリーの試み」(18H00697) と共催で、ワークショップ「アフガニスタン問題と越境的イスラーム主義の起源」を開催いたします。皆様のご参加をお待ち申し上げます。

日時:2022年3月26日(土) 14:00~15:30

田中浩一郎(慶応義塾大学)
「イスラーム革命とアフガニスタンをめぐる諸紛争:地域パワーバランスとイスラーム主義の影響」

質疑応答

使用言語:日本語
開催形態:一般公開/無料、Zoomによるオンライン開催/要事前登録

事前登録:参加ご希望の方はこちらのフォームからお申込みください。

共催:科研費学術変革領域研究(A)「イスラーム共同体の理念と国家体系」(研究代表者:近藤信彰(AA研)課題番号:20H05827)/科研費学術変革領域研究(A)「思想と戦略が織りなす信頼構築」(研究代表者:山根聡(大阪大学)課題番号:20H05828)/科研費基盤研究(B)「暴力による民主主義の20世紀:トランスナショナルヒストリーの試み」 (研究代表者:長縄宣博(北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター)課題番号:18H00697)

 

問い合わせ・連絡先:
守田まどか  mmorita[at]aa.tufs.ac.jp

活動記録

今回の研究会では、慶応大学の田中浩一郎教授が「イスラーム革命とアフガニスタンをめぐる諸紛争:地域パワーバランスとイスラーム主義の影響」と題する発表を行った。
田中氏はイランおよびアフガニスタン現代政治がご専門で、第1次ターリバーン政権時に国連のアフガニスタンミッションに参画された。今回のご報告では、これまで評価されてきた
イラン・イスラーム革命やアフガニスタンの情勢について、今回特にイランの視点を中心に歴史的経緯とともに詳細に報告がなされた。
イランは1979年のイスラーム革命以降のアメリカとの対立によって冷戦下におけるソ連に対する防波堤としての位置を失い、ながらく集団保障体制にない状況に置かれてきた。
だがその中にあっても、アメリカやターリバーンとの交渉を適宜行うなど、教条的に外交を展開させるというよりも、実際には現実的な戦略性のなかで外交政策を進めている点が明らかとなった。
イランにとってアフガニスタンは歴史的にも対立した関係があり、難民や麻薬の密輸など安全保障上の脅威となっているものの、アフガニスタンからの労働力や文化的共通性などの点で重要な存在となっている。したがって、ハーメネイ師は自著『諸問題の解説』の初版をまずアフガニスタンのダリー語で出版するなど、アフガニスタンのシーア派を意識してきた姿が見えてくる。このため、ソ連軍がアフガニスタンに侵攻した際、ホメイニ師がソ連を批判したり、アフガニスタン国内のシーア派勢力への支援を行った。ただ、イランとしてはソ連との対立を鮮明にするほどに至ってはおらず、そこにも戦略性が見えてくるのである。また、2001年のターリバーン政権崩壊後の2002年に東京で開催されたアフガニスタン支援会合でイランは5億ドルを拠出するなど、国際社会との協調路線も意識した外交を展開している。
今回の報告で、革命後イランの外交においてみられる戦略性が浮き彫りとなり、ムスリム個人レベルでの戦略性とともに、国家や集団単位での戦略性についてもさらに研究する必要が再認識された。(山根聡)

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