終了しました 活動記録 ワークショップ「比較の中のイスラーム経済」(Aug. 31)

2021.07.22

カテゴリ: ワークショップ

班構成: A01 イスラーム経済C01 Digital Humanities

A01「イスラーム経済のモビリティと普遍性」は、C01「デジタル・ヒューマニティーズ的手法によるコネクティビティ分析」と共催で、ワークショップ「比較の中のイスラーム経済」を開催いたします。本ワークショップでは、南アジアの考古学がご専門の小茄子川歩さんに、「国家」および「イスラーム」以前の経済・社会のあり方について、インダス文明の事例からお話しいただきます。

日時: 2021年8月31日(火) 13:30〜15:30

プログラム:

小茄子川歩(人間文化研究機構・京都大学/A01班)
「インダス文明の都市結節型広域ネットワーク―「国家」/イスラーム以前の貨幣・交換様式・バッファ=都市―」

コメンテーター:長岡慎介(京都大学/A01班)

発表要旨
 「イスラーム経済のモビリティ(柔軟性+超コネクティビティ)」を可能としている「仕組み」が存在しているとすれば、それは「国家」あるいはイスラームに担保された「信用」である、ということになるのでしょうか。または「国家」や宗教などとは関係のないところでありふれた経済主体たちによって醸成された「信用」である、という可能性もありますでしょうか。
 いずれにしても、イスラーム世界におけるさまざまな経済制度の独自性と普遍性を考察し、「次世代地球社会におけるイスラーム経済の可能性」をさぐるためには、イスラーム経済のあり方を相対化する柔軟な視点も必要であると考えます。当報告では、そうした相対化の視点を、「国家」・イスラーム以前のインダス文明における経済・社会についての考古学的検討から提供することを試みてみます。

使用言語:日本語

開催形態:一般公開/無料、Zoomによるオンライン開催/要事前登録

事前登録:参加ご希望の方はこちらのフォームからお申込みください。

共催:科研費学術変革領域研究(A)「イスラーム経済のモビリティと普遍性」(研究代表者:長岡慎介(京都大学)課題番号:20H05824)/科研費学術変革領域研究(A)「デジタル・ヒューマニティーズ的手法によるコネクティビティ分析 」(研究代表者:熊倉和歌子(AA研)課題番号:20H05830)


問い合わせ・連絡先
水澤純人 mizusawa[at]asafas.kyoto-u.ac.jp

 

活動記録

本ワークショップでは、イスラーム世界の経済を相対化するため、ユーラシア世界を中心・周辺・亜周辺の三つに区分したうえで、後者の亜周辺に該当するインダス文明圏の互酬と分配のあり様について、考古学的な成果を中心に検討がなされた。小茄子川氏は発表の前半において、互酬交換と商品交換の領域の並存を可能とする緩衝地域(=バッファ)について、理論的な視座を提示した。そのうえで、緩衝地域としてのインダス文明圏の条件について、南メソポタミアとの相違や、内部の文化領域に挟まれた空間的限定性という観点から解説した。後半では、集落の規模・分散の程度や物質文化の伝播の状況をもとに、小規模村落が繋ぐネットワークとしてインダス文明圏を特徴づけたうえで、イスラーム経済の脱領域性との相違および異質な経済領域を温存する特質との類似という、相対化に向けた複数の視点を結論で提示した。コメンテーターの長岡氏は、イスラーム経済を一元化(イスラーム法、互酬と商品交換の融合)、インダス文明を二元化(都市/在地社会、互酬と商品交換の分離)したシステムとして対比したうえで、近代資本主義を相対化するための「亜周辺」の特質がいずれにも見られるという視点を提起した。会場からの2名の質問者への応答も含めて、斬新な議論が展開された。参加者33名

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