終了しました 活動記録 「周縁的社会集団と近代」研究交流セミナー(第2回)/イスラーム信頼学ワークショップ「トルコおよび東アラブ地域におけるオスマン帝国の 解体とその影響の管理」(Mar. 19)
2024.02.15
カテゴリ: ワークショップ
班構成: B01 国家体系
B01班「イスラーム共同体の理念と国家体系」(代表:近藤信彰)は、科研費基盤研究(A)「近世巨大都市・三都の複合的社会構造とその世界史的位置―〈史料と社会〉の視点から―」(代表・塚田孝)と共催で、ワークショップを開催いたします。
日時:2024年3月19日 (火) 14:00~16:30
オルチュン・ジャン・オカン(オクスフォード大学)
「トルコおよび東アラブ地域におけるオスマン帝国の解体とその影響の管理:アンカラ政府のイスタンブル派遣団(1922–1928)」
ディスカッション
司会:上野雅由樹(大阪公立大学)
通訳:守田まどか(東京外国語大学AA研)
報告要旨
トルコおよび東アラブ地域におけるオスマン帝国の解体とその影響の管理:アンカラ政府のイスタンブル派遣団(1922–1928)
オルチュン・ジャン・オカン
政治情勢を激変させるような画期的な出来事の後には、外交的、行政的、法的な観点から、その影響を管理しようとする努力が続くことが多い。1920年代の旧オスマン帝国領(となった地域)において、この種の取り組みを担った機関が、アンカラ政府のイスタンブル派遣団であった。この機関は、イスタンブルの外国公館との関係においてトルコの大国民議会を代表し、後にトルコが第一次世界大戦終結時の1923年7月に締結した講和条約――すなわちローザンヌ条約――の条項の履行を促進した。本講演では、この機関の文書史料のうち「オスマン文書館」に所蔵される文字史料と視覚史料を用いて、オスマン帝国の解体と、トルコと東アラブ地域における新体制の構築において、この機関が果たした役割について論じる。この機関に焦点を当てることは、大規模な政治的移行の中で対処しなければならなかった外交的、行政的、法的な問題を理解することにつながる。具体的な事例を通して国家継承管理の実践を説明することで、第一次大戦後における中東地域の形成に関する歴史的考察において、国家および地域の区分を超える新たな方法を提唱する。
使用言語:日本語・英語
開催形態:一般公開/無料、対面のみ/要事前登録
会場:大阪公立大学杉本キャンパス 文学部棟L122会議室(キャンパスマップ 5番の建物です)
事前登録:こちらのフォームからお申込みいただくか、internationalsymposium2021@gmail.com へご連絡ください。オルチュン・ジャン・オカン氏のエッセイ翻訳をお送りします。
共催:科研費学術変革領域研究(A)「イスラーム共同体の理念と国家体系」(研究代表者:近藤信彰(AA研)課題番号:20H05827)/ 科研費基盤研究(A)「近世巨大都市・三都の複合的社会構造とその世界史的位置―〈史料と社会〉の視点から―」(研究代表者:塚田孝(大阪公立大学)課題番号:20H00030)
問い合わせ・連絡先:
基盤研究(A)20H00030 「近世巨大都市・三都の複合的社会構造とその世界史的位置―〈史料と社会〉の視点から―」
(代表・塚田孝)国際ネットワーク構築担当
〒558-8585 大阪市住吉区杉本3-3-138
大阪公立大学大学院文学研究科佐賀朝研究室気付
E-mail internationalsymposium2021@gmail.com
活動記録
オカン氏の報告は、「イスタンブル派遣団」と呼ばれる1920年代のアンカラ政府の機関をとりあげ、この派遣団がオスマン帝国解体後のトルコ国内外において新体制への移行を管理するうえで果たした重要な役割を論じるものであった。旧オスマン帝国臣民の国籍や年金といった問題への対処には、オスマン帝国時代の記録の参照と、新たな国境(トルコと英仏委任統治領シリア、レバノン、イラク)を越えた文書のやりとりが不可欠であり、それらはローザンヌ条約の規定に従い派遣団が担っていたことを具体例から示し、新体制の成立がトルコ国内外の交流を通じて行われたことを強調した。質疑応答では、派遣団の業務内容やリクルートにおけるオスマン帝国時代からの連続性、日本史とは大きく異なり中央に文書を集中させるオスマン帝国の特徴、史料の作成・伝世に着目することで国家や社会編成の近代化について比較検討する可能性などが議論された。